35歳、大学卒業後12年もすればビジネスパーソンとしての能力に圧倒的な差がついている。たしかにそうかもしれない。
ここで取りあげられている4つの能力が大切、というのも言う通りで、歯科医師、開業医として必要な能力、スキルとも言い換えられるかもしれない。
私は30歳で歯学部を卒業し、今年でちょうど12年になるので、ここでいう35歳の状況である。自分自身がここでどちらのポジションにいるのか分からないが、少なくてもここで言われている4つのスキルの意味も、それがどうすれば身につけることが出来るのかは分かる。
結論からいうと、日本の歯科医師として手っ取り早くスキルや知識を身につけるためには、レベルの高い医療を実現している歯科医師の元で勤務し、学ぶことがベストの選択肢だろう。アメリカのように本格的な専門医養成課程のような卒後研修プログラムがないので、逆にいうとそれしか方法はないのではいか。
私自身新卒で就職した勤務先は半年で辞め、その後3年間は5カ所ほど転々とする生活を送っていた。若手歯科医師のやる気や能力の問題ではなく、日本の歯科医師における卒後研修システムの不備の問題だと、今でも思う。誰でもそうした状況に陥ってしまう可能性があるからやっかいだ。
最初の勤務先の選択を間違えると難しい状況に陥ってしまうということも十分考えられるが、歯科医師の場合は特殊で、最初の段階で躓いても挽回はある程度は可能だとも言える。
医師の場合は、出身校や医局でかなり先のゴールが限定されてしまうが、少なくても歯科医師の場合、最初の学歴ではそれほど差がつかない。医師のように大学で設備が整っていないと研修が受けられないということがなく、どちらかというと組織というより、メンター個人からの学びが多いからだろう。医科歯科だろうが、阪大だろうが、国家試験の合格率が下位に低迷するような地方の私立大学出身だろうが、スタートは横一線でそこから先はほぼ本人の努力次第で最終的な到達点は決まる。だから最初の勤務先も大切だが、それ以上にいかに継続した努力を続けることが出来るか、その学びのサイクルをとにかく自分自身の中で早く確立することだ。
そう、ようは本人の心がけ次第。どこにいようが最後は努力し続ける人間、やる人間が生き残るし、やらない人間はどんなに恵まれた環境にいようがやらない。リーダーシップがある者、というのも言い換えれば、「どんな環境でもやる人間」のこと。そういう意味では、歯科医師というのは、世間で思われている以上にやりがいのある職業であるはずだ。
ところで、この4つの能力は、歯科医師がどこの職場でも身につけられるか、だが、これはちきりんのブログに書いてある通り、そこで勤務している12年目の歯科医師にでも院長にでも聞いてみるとよいだろう。
ただし日本の歯科医の場合は、臨床に特化した卒後研修プログラムが存在しないことが一因で、ホームページの見栄えや書いているある内容やクリニックの綺麗さや最新の設備、いくつも書き並べられた院長の経歴や肩書きや、患者さんへの対応や物腰の柔らかさ等からは、実際の臨床家としてのスキルや知識は推し量り得ないと思った方が良い。とにかく、一度一緒に働いてみないと本当のところは見えて来ない。むしろそこに本質的な難しさがある。