症例紹介
case introduction
症例紹介
部分床義歯と顎位の決定
※掲載内容は、あくまでも症例です。治療の効果を保証するものではございません。
81歳女性の方。上下ともキレイにしたいということで、上はフルブリッジ。
下はこのように前歯を連結し、奥歯は部分入れ歯。
入れ歯のバネを見えないようにしたいという希望がありました。
そこで今回はERAアタッチメント
というリング状のコネクターを使用。
どこでも顎を動かしてしまうので、
歯の噛み合わせを最適なポジションで決めるのが非常に難しい。
ロー堤の段階では中心位、つまり再現性があり、
患者さんがリラックスできる顎の位置。
こうして上下の噛み合わせがない場合は
中心位という顎位を基準に歯を並べていきます。
しかし、その歯を並べたロー義歯をお口の中に試適してみると
もっと前方(タッピングする位置)の方が噛みやすいということで、
再度噛み合わせの位置を設定し直しました。
この位置で再び歯を並べてみます。
基本的に全ての補綴物(入れ歯、クラウンなど)は、
顎位(中心位)を基準に入れ歯を作っていきます。
しかし、こうして実際にセットしてみてみると
修正が必要な場合もあります。
タッピングする位置の方がいいわけです。
だったら、最初からタッピングする位置で
入れ歯を作っていけばいいと思われるかもしれません。
でも人工歯を並べるまで、歯を存在しないので
タッピングポイント(歯の噛み合う位置という意味で、嵌合位と呼ばれる)
というのは存在しない。
歯を並べてみて、はじめて分かります。
だから、まずやはり顎の位置を基準に、
そこから顎位を模索していく
それが定石というものです。
歯科医が、中心位と嵌合位の違いが分からない
見極めることが出来ない
その結果、ドクターショッピングを繰り返してる
患者さんがどれだけ多いことか。
20年歯科治療を受け続けているが噛めるようにならない方
矯正治療がきっかけで奥歯で噛めなくなってしまった方
当院に治療に来院される方のほぼ全てが
顎位の設定がうまくいかず
どこで噛んでいいか分からないという主訴で
来院されます。
噛み合わせとは、
本質を理解してしまえば、
それほど難しくはありません。
顎位の設定、歯科医としての醍醐味、奥深さを
これ以上に味わえるものはありません。
しかし、分からない歯科医には全く分からない。
歯と歯はちゃんと噛み合っているのに
患者さんは噛めないと訴える
それでお手上げです。
顎位の決定、
そこには、虫歯を削って詰める
見た目を綺麗にする
欠損部にインプラントをする
もちろん、これらの治療を否定するつもりは
ありませんが、ちょっと違う世界があると言って間違いないでしょう。
いや、違う世界というより、
むしろ審美歯科、インラプント、矯正治療のベースになる知識
と言った方が正しいかもしれません。
顎位の決定、噛み合わせの見極めは、歯科治療の基本ですから。