本日プレゼンテーション(プログラム2年目修了時に行われる進級試験のようなもの)が無事終了しました。
総義歯のケースを20分でプレゼンし、40分口頭試問を行うのですが、Examではベースとなる知識と裏付けとなる論文を読んでいるか、
その説明通りの診査、診断、治療計画、治療が行われているかが問われます。
例えば、10年間下の入れ歯を使用していない患者さんの口腔内の状態、10年ぶりに入れ歯を使ったときに起こる変化等から、
解剖の特徴、使用した印象材、印象採得上の注意点、ボーダーモルダリング、CRの採得方法、人工歯排列、付与した咬合それらの理由、
アルコン型咬合器を使用した理由、付与したコンダイラーガイダンス、
アンテリアガイダンスの角度とその理由など、選択したオプションと診査診断の整合性が取れているかについて一つ一つとじっくり問われました。
口頭試問というよりディスカッション、学位論文の審査(いわゆるDefence)と言った方が近いかもしれません。
「この患者さんはこういう状態だからこうなる」ということを直感のレベルで分かるってことは、「理論」と「実践」が両方そろわないといけない。
こうした口頭試問の場では、「論文ベース」での回答が原則ですが、個別の患者さんに対応出来るかどうか、
どちらが大切かというと、やはりどれだけ場数を踏んでいるか、現場を経験しているかということを今回、
試験官だったDr Barack(ペン大ペリオのアムステルダムのような重鎮)との対話を通じて改めて実感しました。
個別に対応した数が多いから(日本での臨床経験がベースとしてあったから)こそ、
それを目の前の患者さんに当てはめることが出来たわけですが
(もちろん臨床だから、「質」も大切)、まずは理論を知り、質にこだわり続け、さらに数をこなして経験を積み重ねたからこそ「直感」レベルに到達したと言えるのかな。
まだまだ十分とは思いませんが、Dr Barackに「Very good!」と言われたときは正直嬉しかった。。
日本で学んできたことも無駄ではなかったと思えたし、訪問診療で汗水流しながら田んぼ道をかけずり回っていた、あの日々の努力もここで認められたように感じました。
「理論」を軽視すると臨床が穴だらけになるか、もしくは偏ることになる。
だから、特に「専門医」を名乗るのであれば「すべてを体系的に網羅」し、深く学び体得し、さらにそれを実践出来ていなければいけない。
一般の歯科医(GP)との違いはカバーすべき範囲の広さと深さ。
日本の歯科医もすべてアメリカの専門医と同じように広く深く学ぶ必要があると思わないけど、
日本は情報のチャネルが限られている(特定のメンターからしか情報が入らないので得られる知識に偏りがある)。
特に歯科医は勉強熱心な先生ほど、いくら勉強してもどこか不安に感じてしまって、
週末勉強会やら講習会に通わないと不安になっているかもしれません(実際自分は日本にいた時そう感じていました)。
もちろん日本の臨床にも日本の良さがあります(当然世界に発信していけるものもある)が、この話はまたいずれ書いてみたいと思っています。
*写真は、誕生日に図書館へ向かう途中にあるギャラリーに飾られていたものです。Examを翌日に控え、ぼーっとうつむきながら歩いていたのですが、信号待ちの時、ふと見上げるとこのメッセージが目に飛び込んできました。
This is your life. Do what you love and do it often..
Life is short. Live your dream and share your passion..
これはきっと神様からの思し召し(プレゼント?)に違いない(大げさですが)、と感じたのでここにアップしておきます。
下を向いているヒマはないですね。これからも視線を高く広くもって、前に進んでいきたいと思います。