3年前はマイナス19度と、まさにミシガン湖も凍て付く極寒の世界でしたが、今回は気温10度と暖かく拍子抜け。
学会の主な内容としては、
  • オーラルスキャナーを用いた総入れ歯の作成方法
  • オーラルスキャナーとCADCAM
  • デジタルデザインによる治療計画作成の方法
  • 矯正治療におけるクリアアライナーの作成方法
  • インプラント治療におけるデジタルデンティストリーの現状
  • アバットメントやメタルフレームの作成方法
  • オーラルスキャナーによるパーシャルデンチャー
細かなテーマは合計で50以上あるでしょうが、ざっと挙げるとこんな感じです。
日本でも歯科の商業雑誌では数多く取り上げられているので、ご存知の方も多いと思います。
しかし、日本ではまだ薬事、国の許認可が正式に降りていないので、ただ単純に歯の型を採る以外に、オーラルスキャナーを使用することが出来ません。
それだと全く面白みもメリットもなく、先ほど書いたオーラルスキャナーの良さが生かされないので、つくづく残念に思います。
歯科医師の能力ややる気とは別の次元において、日本では歯科医療の発展が妨げられている感じがしてなりません。
今回も帰国したら、学会の内容を教えて欲しいと、オーラルスキャナーを販売する業者の方からいろんなところで、声をかけられていますが、販売する側にもまだ情報が行き届いてない状態なので、日本でのデジタルデンティストリーの普及はまだ当分先になりそうです。
総じてアメリカでは、オーラルスキャナーやCAD/CAMなどのデジタル機器を販売する企業も補綴専門医のみから構成されるアメリカ補綴学会も、デジタルデンティストリーの実用化、導入、普及にいよいよ本腰を入れてきた印象です。
アメリカ人の、こうした新しい分野の学問領域やテクノロジーを実用化していく推進力や一体感は、本当に他を圧倒しています。
全米に散らばった各大学の専門家が、それぞれのノウハウや知識、経験を集積し、一同に介して共有し、全体の臨床レベルを一気に高めていきます。何故アメリカはこうした最新のテクノロジーの導入がスムーズなのか、成功には必ず理由があります。
日本でこうした新しいテクノロジーが広まりにくいのは、一つは先ほど述べたように、国としての制度、システムの問題。
そしてもう一つ、私は日米の歯科医療に対する歯科医師自身の意識の差が、違いを生み出している、そこに本質的な違いがあると考えています。

いいものはいい、とまず取り入れてやってみるアメリカ人のパイオニア気質、とりあえず様子を見て、周りがやってて、良さそうだったらやろうという横並び意識の強い日本人。同時に日本だと変に目立つといわれのない批判を浴びることもあり、目立っていいことは何もありません。

このような差が生じるのは、そうした文化や精神性の違いに起因するともいえるでしょう。